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2026-10-07 のダイジェスト

2026-10-07

本日はサイエンス5件:マクロ環状EGFR PROTAC、PKMYT1阻害薬、OGG1活性化剤、男性避妊を狙うHIPK4阻害薬、大腸炎向けNLRP3阻害薬。業界ニュースは、GenentechのAL050導入、MerckのKRAS G12D導入、LyciaのLYTAC IPO申請の3件です。

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メドケム

5件

BI-4020由来のマクロ環状PROTACがC797S耐性EGFRを分解

  • HQY1480は第4世代マクロ環状EGFR阻害薬BI-4020を母核とするPROTACで、リンカーとE3リガンドを系統的に最適化している。
  • 臨床的に重要な複数のEGFR変異体を低ナノモル濃度で分解し、プロテオミクスでもオフターゲット分解は検出されなかった。
  • 異種移植モデルでBI-4020を上回り、オシメルチニブ耐性モデルでも有効で、患者由来異種移植でもEGFRを分解した。
💡 ポイント

従来のTKIではなくマクロ環から出発した点が巧い。EGFR PROTACがウォーヘッドから引き継ぎがちな薬物動態と選択性の弱さを避けられるからだ。次に知りたいのは、新たな耐性変異に対して分解活性が保たれるか、そしてマウス以外でも良好なPKが再現されるかである。

Development of Potent and Selective EGFR-PROTACs Based on Macrocyclic Fourth-Generation EGFR Inhibitors ↗

シアノキノリン系HIPK4阻害薬、非ホルモン性の男性避妊薬への道

  • HIPK4は精子細胞に特異的で精子頭部の形成に必要なキナーゼであり、非ホルモン性避妊薬の標的候補である。
  • シアノキノリン系の化合物群は、HIPKファミリー内でもキノーム全体でも選択的な強力HIPK4阻害薬となった。
  • 一部の化合物は精子細胞でHIPK4の恒常性も変え、不溶性凝集体を形成させてオートファジー受容体TAX1BP1との相互作用を促した。
💡 ポイント

初期の化合物群でキノーム全体の選択性が出ているのはプローブとして理想的だ。予想外のタンパク質恒常性への作用は、調節可能な分解型に近い作用様式を示唆していて興味深い。ただ避妊薬としては、可逆性と長期安全性の証明という非常に高い壁が残る。

Small-Molecule Modulators of HIPK4 Activity and Proteostasis ↗

OGG1の触媒を切り替える「有機触媒スイッチ」がミトコンドリアを保護

  • OGG1ではこれまで阻害薬の研究が中心だったが、本研究はミトコンドリアに濃縮するORCAで酵素の触媒そのものを再プログラムする。
  • 生化学、変異解析、X線結晶構造により活性部位への結合が確認され、グリコシラーゼ活性よりβ脱離を優先的に促進した。
  • ORCAは酸化ストレス下のミトコンドリア機能を保護し、皮質ニューロンのNADを高め、網膜軸索切断モデルでも神経保護を示した。
💡 ポイント

酵素を阻害でなく活性化する例はまれで難しく、作用機序を示す結晶構造があることが説得力を生んでいる。課題は長期安全性だ。修復酵素の触媒結果を変えれば想定外のDNA損傷を生む恐れがあり、神経保護のデータもまだ初期段階である。

Development of Organocatalytic Switches of OGG1 that Protect Mitochondria under Oxidative Stress ↗

水素結合ドナーを減らした4-アミノキナゾリン系PKMYT1阻害薬、CCNE1増幅がんへ

  • 4-アミノキナゾリン系PKMYT1阻害薬で、水素結合ドナーをアクセプターへ置き換えてドナー数を減らし、薬物らしさを改善した。
  • リード化合物12fは酵素阻害がナノモル域で、卵巣がん細胞OVCAR-3に強い増殖抑制を示し、PARP阻害薬との併用で相乗効果があった。
  • 経口PKも許容範囲で、OVCAR-3異種移植で有効性を示し、忍容性も良好だった。
💡 ポイント

HBDの削減は、キナーゼ系列で膜透過性と経口曝露を改善する明快で応用しやすい手だ。PARP阻害薬との相乗効果は事業面でも面白いが、PKMYT1は競合が多い。他のキナーゼへの選択性と、臨床先行品との比較を確認したい。

Discovery of 4-Aminoquinazoline Derivatives as Potent PKMYT1 Inhibitors via Hydrogen Bond Donor-To-Acceptor Conversion for CCNE1-Amplified Cancers ↗

イストラデフィリン由来のチエノピリミジノン系、大腸炎向け経口NLRP3阻害薬

  • 抗パーキンソン病薬イストラデフィリンに中程度のNLRP3阻害活性があり、その最適化でチエノピリミジノン系化合物群が得られた。
  • リードL22はイストラデフィリンの約10倍強力で、NLRP3のNACHTドメインに直接結合しインフラマソームの形成を阻害した。
  • 経口バイオアベイラビリティがあり、DSS誘発大腸炎モデルで症状を軽減し、急性・亜急性毒性試験でも安全性は良好だった。
💡 ポイント

上市薬のオフターゲット活性から出発すれば薬物らしさで先行でき、NACHTドメインへの直接結合も望ましい。ただNLRP3は競争が激しく、臨床段階の阻害薬と比べた活性と曝露で、L22の真価が問われる。

Design, Synthesis, and Anti-Inflammatory Activity Evaluation of Novel thieno[2,3-d]Pyrimidin-4(3H)-One-Based NLRP3 Inflammasome Inhibitors ↗

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業界ニュース

3件

Lyciaが最大1億ドルのIPOを申請、LYTAC分解薬をアレルギー領域へ

  • Lycia Therapeuticsは、7月の非公開申請を経て、Nasdaq(LYCA)での最大1億ドルのIPOを正式に申請した。
  • 同社のLYTACプラットフォームはCarolyn Bertozzi研究室の成果で、細胞外タンパク質をリソソームへ運んで分解する。
  • 主力のLCA-0061はIgEを分解する食物アレルギー向けでPhase 1、LCA-0321はバセドウ病の自己抗体を標的とする。
💡 ポイント

健常者での初期データでIgEが大きく低下したことが、この話に臨床の裏付けを与えている。IPOは、がん以外の分解薬に公開市場がどれだけ関心を持つかを測る試金石でもある。ただIgEにはオマリズマブとその後継薬という強敵がおり、持続性と差別化を示す必要がある。

Lycia seeks IPO for antibody degraders as TRexBio, Retension set terms ↗

GenentechがAlectorに前払い1億ドル、脳移行型GCase療法AL050を導入

  • Alectorは、前臨床段階の脳移行型改変GCase酵素補充療法AL050(パーキンソン病向け)をGenentechにライセンスした。
  • 契約は前払い1億ドル、最大11.7億ドルのマイルストーンと段階的ロイヤルティで、開発・製造・商業化はGenentechが担う。
  • AlectorはBrain Carrierプラットフォームを保持し、資金は2029年まで持つ見通しとなった。
💡 ポイント

前臨床資産に前払い1億ドルというのは、GBA1関連パーキンソン病でRocheが実証済みの血液脳関門シャトルをいかに評価しているかを示す。Alectorにとってはアルツハイマー病やsiRNA計画を支える命綱だ。ただ本当の賭けは酵素より送達技術で、Genentechには他のシャトルという選択肢もある。

Genentech pays Alector $100M for preclinical Parkinson's prospect ↗

MerckがSciBrunchの前臨床KRAS G12D阻害薬に前払い4億ドル

  • Merckは上海のSciBrunchから、経口の前臨床KRAS G12D(ON)阻害薬SPR2015の全世界での独占権を取得した。
  • SciBrunchは前払い4億ドルを受け取り、マイルストーンを含む総額は最大21.3億ドルとなる。
  • 契約はすでにクローズしている。
💡 ポイント

前臨床資産に前払い4億ドルは異例で、KRAS G12D競争の過熱ぶりと、中国発資産が臨床段階並みに値付けされている現状を映す。Merckにとっては出遅れ気味の領域で、ON状態阻害の差別化が必要になる。注目はヒト初回投与試験のデータだ。

Merck licenses a KRAS G12D inhibitor for $400M upfront ↗