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資金調達・IPO

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Isomorphic Labsの評価額報道が、AI創薬への期待と注目度を押し上げる

  • STATのAI Prognosisコラムは、Isomorphic Labsの極めて高い評価額がAIの創薬における役割について何を語るのかを問う。
  • 別の報道によれば、同社は2026年5月に約21億ドルを調達した直後に、評価額400億ドル以上での新たな資金調達を初期段階で協議している。調達は成立していない。
  • コラムは、AIと医療費をめぐる議論にも触れている。
💡 ポイント

この水準の評価額は、パイプラインではなくプラットフォームの選択肢を織り込んでいる。Isomorphicには公表された臨床段階の実績がまだなく、投資家は構造予測AIが最初の候補品までの道のりを短縮する可能性にお金を払っている。業界にとっては、AIネイティブなバイオテックに求められる臨床での証明のハードルが上がり、提携資金も先行企業に集まりやすくなる。この数字は協議の段階で、成立した取引ではない点に注意したい。

STAT+: What's the deal with Isomorphic Labs? ↗

Forbion、過去最大の26億ドルを調達、欧州でも近年最大級

  • STATによると、欧州のベンチャーキャピタルForbionが過去最大となる26億ドルを調達した。
  • 同地域でも近年最大級とされるが、ファンド構成や配分は公開部分では確認できなかった。
💡 ポイント

専門投資家によるこの規模の調達は、資金環境が不安定でもLPがバイオ創業を支えていることを示し、欧州スタートアップに厚みのある地元の資金源を与える。創業初期への配分と後期ラウンドの比率、米国志向の創業者を欧州上場へ引き寄せるかが注目点だ。

STAT+: Forbion raises $2.6 billion, its largest fundraise to date ↗

Caribou Biosciences、後期CAR-T試験の資金を確保できず事業停止へ

  • STATによると、Doudna氏が共同創業した同社は、リンパ腫向け既製CAR-T療法の後期試験に必要な資金を調達できず、事業を停止する。
  • 他の報道では、臨床段階の2つの細胞治療候補の開発を中止し、大幅な人員削減を行ったうえで合併または売却を探るとされている。
  • STAT+の公開部分のみを確認でき、それ以上の詳細は未検証。
💡 ポイント

CRISPR時代を象徴するCAR-T企業が資金不足で倒れたことは、既製型細胞療法が自家CAR-Tや二重特異性抗体に対して資金を集めにくくなっている現実を示す。科学的な最終判断というより資金調達の失敗に近く、資産とデータの引き受け手が現れるかが注目点だ。

STAT+: Caribou Biosciences, biotech co-founded by Jennifer Doudna, is shutting down ↗

Lyciaが最大1億ドルのIPOを申請、LYTAC分解薬をアレルギー領域へ

  • Lycia Therapeuticsは、7月の非公開申請を経て、Nasdaq(LYCA)での最大1億ドルのIPOを正式に申請した。
  • 同社のLYTACプラットフォームはCarolyn Bertozzi研究室の成果で、細胞外タンパク質をリソソームへ運んで分解する。
  • 主力のLCA-0061はIgEを分解する食物アレルギー向けでPhase 1、LCA-0321はバセドウ病の自己抗体を標的とする。
💡 ポイント

健常者での初期データでIgEが大きく低下したことが、この話に臨床の裏付けを与えている。IPOは、がん以外の分解薬に公開市場がどれだけ関心を持つかを測る試金石でもある。ただIgEにはオマリズマブとその後継薬という強敵がおり、持続性と差別化を示す必要がある。

Lycia seeks IPO for antibody degraders as TRexBio, Retension set terms ↗

AstraZeneca、Summitに20億ドル出資しイボネシマブとADCの併用を推進

  • AstraZenecaは20億ドル相当の転換優先株を取得し、Summitの普通株の約12%(希薄化後では約10.6%)の権利を得る。
  • 最初の併用は、SummitのPD-1xVEGF二重特異性抗体イボネシマブとAstraZenecaのCLDN18.2標的ADCを消化器がんで組み合わせるもの。さらにAstraZenecaの他のADCを加えた広範なプログラムについて、覚書を締結した。
💡 ポイント

これはパイプラインではなく席を買う動きだ。買収やライセンスではなく、出資と併用の権利により、未保有のPD-1xVEGFクラスの近くに身を置ける。ADCとPD-1xVEGFの併用が次のがん治療の基盤になるという賭けで、自社ADCをその相手に据える狙いがある。広範な覚書は拘束力がなく、最終契約の条件が注目点だ。

AstraZeneca scales Summit's PD-1xVEGF strategy with $2B investment to fuel ADC combinations ↗

バセキャンプ・リサーチ、次世代AI生物学モデル開発へ1.4億ドルを調達

  • ロンドンを拠点とするAI医薬品設計スタートアップ、Basecamp Researchは、S32が主導し約8億ドルの評価額で1.4億ドルのシリーズCを実施(需要超過)。NvidiaやAnthropicのAnthology Fundなど他の投資家も参加した。
  • 資金は、同社独自の環境・生物多様性ゲノムデータセットを基盤とする次世代の基盤モデル「EDEN」の学習に充てられる。
  • この資金調達により、生体内(in vivo)細胞治療を皮切りに、AIが設計した治療薬パイプラインの臨床開発への前進が図られる。
💡 ポイント

Basecampは競合と同じ公開タンパク質データベースで学習しない——その強みは独自の環境・生物多様性ゲノムデータであり、容易に模倣できず、8億ドルという評価額の見出しよりも価値がある。NvidiaとAnthropicが揃って一社の生物学基盤モデル企業に出資しているのは、インフラ勢がバイオFMをプラットフォーム争奪戦の対象と見ている表れであり、低分子ではなくin vivo細胞治療からパイプラインを始めるのは、臨床でこの仮説を証明するにはより厳しい最初の一手だ。

AI startup Basecamp Research raises $140M Series C, shares pipeline ↗

Envedaが3.11億ドルのシリーズEを獲得、評価額は20億ドルに倍増

  • Envedaはシリーズ資金調達ラウンドとしてCatalio Capital Managementが主導する3.11億ドルを獲得し、新規・既存の複数の投資家が参加した。
  • このラウンドによりEnvedaの評価額はおよそ20億ドルに倍増し、創業以来の累計資金調達額は8.45億ドルを超えた。
  • EnvedaはAIを用いて天然物由来の化合物から薬剤候補を探索しており、資金はアトピー性皮膚炎や代謝性疾患のプログラムを含む臨床パイプラインを後期段階の試験へ進めるために使われる予定。
💡 ポイント

この厳しい資金調達環境で3億1100万ドルのシリーズEが成立したことは、投資家がAIプラットフォームの売り込みではなく、2つの候補化合物の実際の臨床データに賭けているというシグナルだ。Envedaの強みは、合成ライブラリー偏重の競合が見過ごしてきた天然物化学空間のマイニングにある。より厳しい試練はアトピー性皮膚炎で、Dupixentのような抗体医薬がすでに市場を握る中、低分子が明確な差別化ストーリーを示せるかが問われる。

Enveda reaps $311M round to feed its ambition to become a 'household name' ↗

エヌビディア出資のAI創薬企業アイアンビック、ナスダック上場を申請

  • アイアンビック・セラピューティクスは、ナスダックでのIPOをティッカー「IAM」で申請し、最大1億ドルの調達を目指す。
  • サンディエゴを拠点とするこのAIネイティブ創薬企業は、機械学習モデルと自動化されたウェットラボの化学・生物学実験を組み合わせており、エヌビディアやコーチューなどが出資している。
  • 主力パイプラインである経口HER2阻害剤IAM1363は、HER2変異を持つ固形がんを対象とした初期段階の臨床試験段階にある。
  • 2025年の売上高は約900万ドル、純損失は約7700万ドルに拡大した。
💡 ポイント

IambicのIPOは実質、AIネイティブ創薬という物語への市場の信頼度を測る踏み絵と言える。純損失7700万ドル、売上高わずか900万ドルに対し調達目標は1億ドルに過ぎず、エヌビディアとコーチューという株主の顔ぶれこそが、IAM1363の初期データ以上に今回のセールスポイントになっている。

Nvidia-backed AI biotech Iambic Therapeutics files for IPO ↗

ノース・イミュノロジー、エスロン・メディカルとの逆合併で上場——アトピー性皮膚炎薬に1.8億ドル調達

  • ノース・イミュノロジーは、バイオテック系ヘッジファンドADAR1キャピタル・マネジメント内で2年間インキュベートされてきた非公開企業で、ナスダック上場のエスロン・メディカルとの逆合併により株式公開する。合併後の企業は「ノース・イミュノロジー」の社名で新ティッカー「NRTX」のもと取引され、エスロンの既存株主は合併後企業の約4.75%を保有する。
  • 主力パイプラインのNOR-101は、IL-13とIL-18を標的とする半減期延長型二重特異性抗体で、アトピー性皮膚炎(湿疹)治療薬として開発中であり、デュピクセントに次ぐ次世代競合薬となる可能性がある。
  • 今回の取引には、ベインキャピタル、ジャナス・ヘンダーソン、ディープトラック・キャピタルなどの投資家による1億8000万ドルのPIPE(私募増資)による資金調達が含まれ、2028年後半までの事業運営資金を賄う計画。
  • 開発計画では、2027年初頭にフェーズ1a試験を開始し、2027年半ばまでにPK(薬物動態)・安全性の中間データを取得、2028年にフェーズ1b/2bのトップライン結果を得る予定。
💡 ポイント

逆さ合併+PIPEという組み合わせは、IPO市場が依然低調な中、資金力のある未上場バイオテックにとって定番の上場ルートになりつつある——2026年を通じて、伝統的なロードショーの価格決定リスクを避けるためのこの手のナスダック・シェル転換はさらに増えるだろう。 より興味深いのは出自だ。ADAR1キャピタルがNOR-101を2年間社内でインキュベートしてからスピンアウトさせたという経緯は、ヘッジファンドが単なる銘柄選択者ではなく、ベンチャー創出者として振る舞っていることを示す——クロスオーバー系ファンドが資産単位のリターンを追い求める中、注目すべき「自社育成→収益化」モデルだ。 IL-13/IL-18デュアルブロッケードを狙う点は、デュピクセントの影に直接踏み込む格好であり、作用機序は差別化されているとはいえ、アトピー性皮膚炎領域はすでに混雑している(アムジェンのロカチンリマブ、サノフィ/リジェネロンの後続品など)。したがって発売時の競争力ある実行力と価格決定力の方が、目新しさよりも重要になるだろう。 フェーズ1aの開始が2027年までずれ込むため、近い将来のカタリストは存在しない——これは短期売買の対象ではなく、投資家が持ち続けなければならないストーリーだ。

North Immunology goes public via reverse merger as eczema drug heads toward clinic ↗

スリング・セラピューティクス、経口甲状腺眼症治療薬の開発推進へ1億2300万ドルを調達

  • スリング・セラピューティクスは、Forbionが主導し、既存投資家のTPGライフサイエンシズ・イノベーションズおよび新規投資家のセクトラル・アセット・マネジメントが参加する1億2300万ドルのシリーズC資金調達を完了した。
  • 調達資金は、経口低分子IGF-1R阻害剤であるリンシチニブの甲状腺眼症(TED)向けフェーズ3開発に充てられる。
  • IGF-1Rに直接結合する静脈内投与のモノクローナル抗体(アムジェンのTepezzaやViridianのLumvoaなど)とは異なり、リンシチニブは経口投与でIGF-1Rのリン酸化に作用し、より安全で持続性が高く、利便性の高い選択肢となる可能性がある。
  • 同社は、中等度から重度の活動性TED患者を対象としたグローバルなピボタルフェーズ3試験「ORBIT」で患者への投与を開始した。これは、有効性目標を達成した完了済みのフェーズ2b/3試験「LIDS」を踏まえたものである。
  • 今回の資金調達により、スリングはTED市場で確立されたブロックバスター静脈内治療薬に対抗する体制を強化する。
💡 ポイント

Tepezzaはアムジェンによる278億ドルのホライズン・セラピューティクス買収を正当化した数十億ドル規模の主力製品であり、経口薬による挑戦はTED(甲状腺眼症)という適応症そのものではなく、その買収を成立させた収益構造を狙っていると見るべきだ。 フォルビオンがシリーズCをリードし、TPGが追加出資、セクトラルが新規参入してフェーズ3まで資金を賭ける構図は、TEDが単に注目領域だからではなく、差別化仮説そのものへの本気度の表れだろう。 商業的な論理は明快で、点滴静注は通院負担・スケジュール調整・輸注反応リスクを伴うが、経口薬はそれを回避できる——慢性で再燃を繰り返す疾患ではアドヒアランスの観点から大きな価値になる。 とはいえ、先行品は処方医との関係や確立した償還パスを握っており、経口薬がまず奪うのは輸注を敬遠する患者や再発例であって、フェーズ3で明確な優位性を示さない限り、第一選択の座をすぐに脅かすとは考えにくい。

Sling reels in $123M series C to fund oral Tepezza rival through phase 3 trial ↗

Sling Therapeutics、経口甲状腺眼症治療薬の開発資金としてシリーズCで1.23億ドルを調達

  • Sling Therapeuticsは、Forbionが主導するシリーズCラウンドで1億2300万ドルを調達した。既存投資家のTPG Life Sciences Innovationsと新規投資家のSectoral Asset Managementも参加した。
  • 調達資金は、甲状腺眼症(TED)を対象としたリンシチニブ(経口低分子IGF-1R阻害薬)の第3相試験の推進に使われる。
  • リンシチニブはもともとアステラス製薬ががん治療薬として開発した化合物で、Slingは2022年にライセンスを取得しTED向けに再開発した。
  • 本剤は、現行の標準治療であるアムジェンの点滴抗体薬テプロツムマブ(Tepezza)に対する経口の代替候補として位置づけられている。
  • 第3相試験は患者への投与を開始し、約120人を対象に24週間にわたる眼球突出(プロプトーシス)の軽減効果を評価する。
💡 ポイント

甲状腺眼症の分野でテプロツムマブ(Tepezza)は静脈内注射薬でありながらブロックバスターに育ったが、実際の臨床データを伴う経口IGF-1R阻害薬が登場したことで、初めて機序面で正面から競合できる脅威が現れたと言える。アムジェンは注視すべきだろう。むしろ興味深いのは資産の出自だ。アステラス製薬が一度お蔵入りにした腫瘍領域の化合物が2022年にライセンスアウトされ、眼科用途に再開発された結果、いまや第3相試験にまで進んでいる — 見過ごされた資産を掘り出す、事業開発チームなら誰もが再現したいお手本のような展開だ。1億2300万ドルのシリーズCが、初期段階ではなく第3相のタイミングで成立し、Forbionが主導し、既存投資家TPGに加えてクロスオーバー型の新規投資家Sectoralが参加したことは、投機的な資金というより本物の確信を示すシグナルと読める。TEDは小規模な希少疾患市場に過ぎないが、Tepezzaは患者と保険者が治療に対価を払うことを実証済みだ。24週時点での眼球突出データが良好であれば、経口かつ自己投与可能な選択肢はその市場をさらに広げる可能性がある。

Sling reels in $123M series C to fund oral Tepezza rival through phase 3 trial ↗

Encoded Therapeutics、ドラベ症候群遺伝子治療でシリーズF 2億7500万ドルを調達

  • Encoded Therapeuticsは、GVと非公開のヘルスケア系投資家が共同主導し、ARCH Venture Partners、Braidwell、Farallon、Illumina Ventures、Invus、Janus Henderson、Matrix Capital、RTW Investments、SoftBank Vision Fund 2、Venrockなどが参加するシリーズFラウンドで2億7500万ドルを調達した。
  • 調達資金は、SCN1A陽性ドラベ症候群(重症で治療抵抗性の小児てんかん)の患児を対象に、AAV9を用いてSCN1A遺伝子の発現を回復させる遺伝子制御療法ETX101のピボタル試験および対象年齢拡大試験に充てられる。
  • 欧州てんかん学会議で発表されたフェーズ1/2 POLARIS試験の中間データでは、治療を受けた患児で発作頻度の減少や発達面での改善傾向が示された。
  • 資金は製造体制の拡充や、切断後神経腫による疼痛を対象とする2つ目のパイプラインETX301の開発にも充当され、2027年のIND申請を目指す。
💡 ポイント

2億7500万ドルという金額は、単一適応症向けの民間資金としては破格の規模であり、しかも向かう先は遺伝子編集や遺伝子置換ではなく遺伝子制御だ。小児のCNS標的において、恒久的なゲノム改変よりも調整可能で可逆的な発現制御を投資家が選んだという意味合いが強い。POLARIS試験の中間データにより、EncodedはSCN1Aを標的としたドラベ症候群治療で臨床面の先行者優位を握り、より初期段階にとどまる遺伝子置換・アンチセンス系の競合に先んじている。GV、ARCH、SoftBank Vision Fund 2といった顔ぶれとラウンド規模自体も、バイオ資金調達市場の一つのシグナルと言える――レイトステージの大型私募ラウンドがIPOに向かうはずだった資金を吸収しており、IPOウィンドウが依然として選択的にしか開いていないことを示唆する。調達資金の一部を、無関係な疼痛領域の資産ETX301に充てる判断はプラットフォーム戦略への賭けであり、主力のドラベ症候群プログラムへの集中力を薄める可能性もはらむ。

Encoded closes $275M Series F for Dravet syndrome drug ↗

Solstice Oncology、2.25億ドルのシリーズA資金調達で始動、Harbour BioMedからCTLA-4抗体をライセンス導入

  • Solstice Oncologyは、大手ライフサイエンス投資会社が主導し複数のバイオテック投資家が参加した、応募超過となった2億2500万ドルのシリーズA資金調達とともに正式に始動した。
  • Harbour BioMedは、自社が発見した次世代Fc増強型CTLA-4抗体ポルストバートについて、大中華圏を除く地域での開発・商業化に関する独占ライセンスと株式提携をSolsticeに供与した。
  • Solsticeは、この抗体を転移後期の疾患に限定するのではなく、手術前のネオアジュバント(術前補助)段階といったより早期のがん治療に投入することを目指している。
  • この戦略は、ポルストバートとPD-1阻害剤の併用が、肝転移のないMSS(マイクロサテライト安定型)転移性大腸がんという治療が難しい患者集団において、良好で持続的な奏効を示した過去のデータに裏付けられている。
  • 新たな資金は、ポルストバートとKeytruda(キイトルーダ)を併用する第2相試験、および年内に登録開始予定の大腸がんを対象とした別の第2相試験を支援する。
💡 ポイント

• 中国発資産を欧米に持ち込む定番の手法そのものだ。欧米の投資シンジケート(RA Capital主導)が新設の米国NewCoに出資し、大中華圏以外での開発を担わせる――中国発バイオ医薬品をグローバル市場に乗せるための、今や定番のディール構造となっている。 • 単純なライセンス供与ではなく「ライセンス+株式」という形にした点がポイントだ。Harbour BioMedは現金一括ではなく、Solsticeの成功に連動するアップサイドを選んだ。そして単一資産に対して応募超過となった2.25億ドルのシリーズAは、投資家の並外れた確信を示している。 • 本当の戦略的賭けはタイミングにある――競合の多い後期・転移性がんでのCTLA-4/PD-1併用ではなく、ポルストバートをネオアジュバント(術前)段階に投入するのは差別化された選択だが、規制・商業面での前例が少ない道でもある。 • すべては実行力次第だ。これまでの後期大腸がんでの「良好な」データは根拠であって証明ではない――Keytrudaとの併用試験、およびもう一つの大腸がん第2相試験の結果こそが、この戦略の真価を問うことになる。

Fierce Biotech Fundraising Tracker '26: Encoded finagles $275M series F; Solstice rises with $225M ↗

TwoStep Therapeutics、抗体ADCに代わるペプチド薬物複合体で6250万ドル調達とFDA治験薬承認を獲得

  • TwoStep Therapeuticsは2026年9月10日、超過応募となったシリーズAで6250万ドルを調達したと発表した。同時に主力候補TS-104の治験薬(IND)申請がFDAの承認を受けたことも明らかにした。同社は2024年設立のスタンフォード大学発スピンオフである。
  • 今回のラウンドはInsight PartnersとMedical Excellence Capitalが主導し、製薬系コーポレートベンチャーキャピタルのM Ventures(独メルクKGaAの投資部門)とPfizer Venturesが共同主導した。既存投資家のNFX、2048 Ventures、スタンフォード大学も参加し、累計調達額は7120万ドルとなった。
  • TS-104は、固形がんに関連する5種類のインテグリンに結合するよう設計された多特異性ペプチド(polyspecific integrin-binding peptide)に、複数の承認済み抗体薬物複合体(ADC)でも使われる細胞毒性ペイロードMMAEを結合させた、ファーストインクラスの多特異性ペプチド薬物複合体(PDC)である。
  • 同社はこのペプチドベースのプラットフォームを、固形がんの標的に到達する手段として抗体ベースのADCに代わる選択肢と位置付けている。
  • 今回のIND承認により、ヒトを対象とした初のフェーズ1試験への道が開かれ、患者登録は年内に開始される見込みである。
💡 ポイント

PDCは、ADCと同じMMAEペイロードを、より小さく組織浸透性の高い運搬体に載せることで、低コストかつ固形がんへの到達性で優位に立とうとしている。これは現在腫瘍領域のディール市場を席巻するADCフランチャイズへの正面からの挑戦だ。 注目すべきは調達額よりも投資家の顔ぶれだ。M VenturesとPfizer Venturesが単なる出資でなく共同主導した点は、ADC資産を抱える大手製薬2社が自社フランチャイズへの保険として、あるいは将来の提携・買収候補として、この未実証モダリティを早期に見極めようとしているサインと読める。設立から2年でのオーバーサブスクライブ達成とIND承認という速さは、このコンジュゲートクラスへの強い確信を示すが、提携論が現実味を帯びるかはフェーズ1の忍容性データ次第だろう。

Exclusive: Cancer biotech TwoStep gets $62.5M to take twist on ADCs into clinic ↗

ARPA-H、個別化RNA医薬品の迅速製造に最大1億2500万ドルを投資

  • ARPA-H(先端医療研究計画局)は、患者の近くで1週間以内に個別化RNA医薬品を製造できる自動化システムの開発に資金を提供しており、GIVEプログラムの下で5つのチームに総額最大1億2500万ドルを助成する。
  • 最大の助成額(最大5450万ドル)はWaterfall Scientificに授与され、同社は6社からなるコンソーシアムを率いて、連続フロー・無細胞方式によるmRNA製造・評価プラットフォーム(プロジェクト名ESCALATOR)を構築する。
  • コンソーシアムにはAnsa Biotechnologies(酵素的DNA合成)、Volta Labs(自動液体ハンドリング)、Polymorphic Biosciences(LNP製剤化)、Tensentric(ハードウェア設計)、Ginkgo Bioworksが参加する。
  • 目標は、カスタムRNA医薬品の製造期間を数カ月から数日に短縮し、品質を落とさずに患者に近い場所での分散型製造を可能にすることだ。
💡 ポイント

ARPA-Hがここで資金を投じているのは、特定の薬ではない。狙いは製造インフラそのものであり、Waterfallが得た最大5450万ドルという金額と政府のお墨付きは、コンソーシアム各社が次の資金調達や提携交渉で使えるレバレッジになる。 非希薄化資金によってこの共有インフラモデルの有効性が示されたことで、専用GMP製造施設を自前で持てない中小バイオ企業でも、N-of-1療法など個別化RNAプログラムへの参入障壁が下がる。 Ansaにとっては酵素DNA合成が中核のシンバイオ事業を超えた製造インプットとして裏付けを得たことになり、Ginkgoにとってはコロナ検査収益が枯渇して以来頼ってきた、いわば「ゴールドラッシュのツルハシ売り」的ポジショニングを補強する新たなファウンドリ契約だ。 米国政府は今や、迅速で分散型の遺伝子医薬品製造を治療上の課題としてだけでなく、国家的能力の問題として扱い始めている。

ARPA-H funds biotechs working on custom RNA therapies ↗